金融庁が2024年10月、金融商品販売会社に対して「顧客本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)」に関する実施状況の一斉調査をスタートした。新NISA(少額投資非課税制度)時代販売会社に求められているものは何か。真の顧客本位の業務運営の実践と追究のために運用会社を設立した、なかのアセットマネジメント 代表取締役社長の中野晴啓氏が、厳しくもあたたかいエールを贈る本シリーズ。本部編の第1回は「トラックレコード」だ。
「つみたて王子」中野晴啓の一刀両断!販売会社の本部 編 目次
商品選定に反映されない表層的なフィロソフィー
新しいファンドを採用する際、運用会社に「今どんなファンドが売れていますか」と聞いて候補を探していませんか。現在どの販売会社でもパッシブファンドを取り扱っていますが、この背景には「“オルカン”、“S&P500”はないの?」と世の中で話題の低コストインデックスファンドについて、窓口の投信販売員に尋ねる顧客の声が多く集まったことが要因にあると推測します。
政府がNISAなど国民に投資を後押しする制度を整えていることもあり、「将来の資産作りをしたい」と訪れてくる顧客は増えているでしょう。しかし将来の資産作りを目的にしたはずの顧客が、「今一番売れているものを教えて」「すぐに儲かるものを教えて」と聞いてくるケースも少なくありません。今人気の商品や短期間で値上がり益が見込めるファンドが必ずしも長期の資産形成に向いているとは限らないことを、顧客は分かっていないのです。こうした矛盾を正さずに“顧客ニーズ”と受け止めて揃えた商品ラインアップに、その金融機関の「フィロソフィー=投信セールス哲学」は果たして反映されているのでしょうか。
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