お客さまは、「金融機関の人が何かを売りつけにきた」と思ってしまうもの。きちんと自己紹介をし、訪問の理由をお客さまに伝えておきましょう。販売担当者の最終目的はお客さまの将来のお金の不安解消をサポートすること。その手段として、金融商品をご紹介していることを理解していただければ、お客さまのあなたを見る目も心構えも変わり、「販売担当者」と「お客さま」という関係性がはっきりします。
相手の立場で商品を提案するのは、営業の仕事の基本です。でも「気持ちのタイミング」をはかることも忘れてはならないポイントです。一度話を聞いただけでは購入の決心がつかないのは自然なこと。ちょっと奮発してものを買うとき、何度もお店に通い、しばらく悩み、それでも「結局買う」なんて経験ありませんか? 金融商品だって同じです。多くの場合、お客さまはじっくり検討する時間がほしいと思うのです。
そのかわり、2度目のアポイントが取れれば成約の確度は高い。興味があってアポイントに応じているからです。ただ、そんなお客さまは特に、最後の一押しを待っていることが多いようです。こちらが引いてしまうとなかなか決断できなくなる。話をしているうちにどんどん話がそれてしまう人は、どちらかといえば決断できない人に多いかもしれません。決めなければならないことを少しずつ回避しようとするからです。
逆に、金融のリテラシーが豊富な人は情報志向が高く、自分で判断することが多いので、「押し」の営業は嫌がります。
目の前のお客さまがどちらのタイプなのかよく見て、聴いて考えることで、最適な対応ができるようになります。

「プッシュ型」(押し)と「プル型」(引き)の営業
自分で調べ、決断したいと考えるお客さまにこちらの提案を前面に出すと「押し付け」のように感じられてしまうのでプッシュ型の営業は向きません。逆に信頼できる人に相談したり、アドバイスをもらいたいと考えている人にプル型の「引き」の営業をしてしまうと、いつまでたってもクロージング(成約)ができません。
お客さまの背中を押すことも
(投信営業4年目・女性)
お客さまとお話しするのは大好きなのですが、どうも深入りしすぎてしまっているような気がして不安になることがありました。自分よりもだいぶ年上の方に家族の悩みを打ち明けられ、戸惑ったこともあります。
でも結果的に、ご家族のことも含めて一緒に考えさせていただくことができました。大きな信頼を寄せていただき、他行で保有している商品の状況や満期の情報などもすべてオープンに。
ここからが私の出番! 商品の見直しからポートフォリオの再構築、投資信託だけでなく保険商品も合わせてご提案することで、漠然とした不安が解消されたと喜んでくださいました。
どれだけ仲良くなってもお客さまはお客さま。お客さまのお金の不安の解消法はどこにあるのかを常に考えて背中を押してさしあげることで、関係性がきちんと保たれているのだと感じています。