コメント (0)
人口減少や高齢化の進展とともに、経済の縮小や衰退が懸念される地域が増えています。地域経済を活性化させるためには、どのような取り組みが効果的でしょうか。そして地元の金融機関が果たすべき役割とは?中央大学客員講師の上野直昭氏が保険窓販を切り口とした地域創生のヒントを提案します。

全世界の共通体験となった新型コロナ

新型コロナウイルス対応で信じられないほどの大きな変化がいろいろと起きています。

働き方改革が求められるも進捗のなかった企業の多くは、テレワークを導入し、もはや都心に事務所は不要とまでいわれるようになり、賃貸物件の解約が増えているそうです。

お父さんも子ども達も、これほど長い間一緒にいることは過去になく、家族だんらんで食器が売れたり、体力を維持するためにダンベルが売れたり、心の癒しなのか家庭栽培キットが爆発的に売れているそうです。皆さん「そうだ。わかる、わかる。」と頷く方も多いと思います。

コロナ禍の外出自粛で団らんが増えた家族も
コロナ禍の外出自粛で団らんが増えた家族も

なぜか?
ポイントは、今回の新型コロナ禍は「日本全国民が体験」したことだからです。従来は災害等が起こっても一部の地域だけが対象でしたが、今回は日本全国、さらには全世界も共通という未曽有の出来事となっています。

各国首脳が新型コロナ危機を評するにあたって「第二次世界大戦以降~~」という言葉を使いますが、日本でも太平洋戦争以来初の全国民共通体験をしているのだと思います。

変化迫られる保険業界 募集は「非対面」へ

全国民が同じ体験をしているからこそ、従来の考え方が一転する機会にもなっています。

保険業界では「聖域」とされた対面募集が打破され「非対面募集」が認められました。

しかも、大手生命保険会社が顧客と直接対面しない営業に踏み切りました。対応するのは、外出自粛により、お客さまと直接会うことが難しい生保レディーと呼ばれる営業職員です。業界で23万人に達する営業職員が、対面で関係を築く販売スタイルの見直しを迫られた形になり、一挙に古い体質から脱皮しようとしています。

保険募集も対面から非対面が急速に進む
保険募集も対面から非対面が急速に進む

オンライン保険相談も保険会社によって対応が異なりますが、保険代理店は一挙にオンライン保険相談をスタートさせました。新型コロナウイルス感染リスクもあり、いま保険ニーズは高まっており、多くの保険ショップや保険代理店には相談希望が急増しています。

全く想定外の新型コロナウイルスの拡大で、古い体質の保険業界も変化の時を迎えており、保険募集のポートフォリオの入れ替えを早急に実施しなければならないと考えています。

従来の当たり前が、当たり前でない時代の到来

国も規制を緩和しました。
「オンライン診療」などは特徴的なことだと思います。オンライン診療とは、電話やインターネットを使って医師が離れた場所にいる患者を診療するもので、新型コロナウイルスへの感染リスクを減らそうと、厚生労働省は「規制を緩和」して一定の条件の下で初診からの利用も認めました。

「やればできるではないか」という感じを受けています。同様に、自宅から処方薬(医療用医薬品)を購入できる「オンライン服薬指導」の利用も、2020年9月予定だった解禁をコロナ対策で2月末に一部前倒しされ、実施されました。国も利便性を高めるために動くことで、従来の当たり前が当たり前でない時代が到来しました。

さらに保険業界について追加して言えば、1月にリリースされた「割り勘保険」などは、保険の概念そのものを覆す保険商品になります。(割り勘保険については、述べるスペースがないので自習してください)

銀行は広い選択肢に「お金」と「人」を使うべき

こうして保険業界を始めいろいろな業種・業態が変化する中、銀行も当然変わると思います。

銀行の概念そのものが変わる時が来たと思います。「お金を集めて貸す」「運用して増やす」という銀行本来の業態からどう変わるのでしょうか。しかも全世界の金融が変わると考えられるので、世界レベルで変化していく必要があると思います。

キーワードとしては、従来の「選択と集中」から脱却することだと考えます。いまは「幅広い選択肢」が必要です。幅広い選択肢にお金と人を使い、幅広い業務展開することが必要と考えています。ただし、一行では無理です。複数の銀行がタッグを組んで立ち向かっていかないと生き残れないと思います。

アフターコロナの銀行業のキーワードは「幅広い選択肢」
アフターコロナの銀行業のキーワードは「幅広い選択肢」

明確な答えがある訳ではありませんが、従来とは全く異なる世界がアフターコロナで押し寄せてくると思います。フレキシブルに対応できるように、頭を柔らかくして、信頼できる「コーチ」になる方を持って、勝ち残って行けるようにもがいていきましょう!

  • 上野直昭(うえの・なおあき)

    中央大学 経済学部 客員講師
    一般社団法人 保険健全化推進機構 結心会 会長

    日本火災海上保険(現損保ジャパン日本興亜)に入社後、損保マンとして経歴を重ね、2005年3月株式会社保険市場取締役就任し全国に保険ショップ保険市場を展開。その後、保険市場ショップを譲受した全国の保険代理店を組織化し一般社団法人保険健全化推進機構結心会を設立。保険ショップ定着を指導するなど保険販売の現場で幅広く活躍。

関連記事

関連記事はありません。

コメントを書く