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人生には、予想外の病気や障害、失業などで自立した生活を送れなくなるリスクがあります。公的保険の仕組みをしっかり理解して、それぞれのお客様にふさわしいライフプランを提案しましょう。FP山中伸枝さんが、公的保険をベースにした保険セールスのコツをアドバイスする本コーナー。3回目は、遺された配偶者や子供の生活を支える遺族年金について解説します。
(『ファンドマーケティング』2023年9月発行号より転載)

男女差が残る
遺族厚生年金の支給要件

山中 伸枝さん
山中 伸枝さん
公的保険アドバイザー協会理事
ファイナンシャルプランナー(CFP®)

米国オハイオ州立大学ビジネス学部卒業。「楽しい・分かりやすい・やる気になる」講演、ライフプラン相談、執筆など多数

一家の生活を経済的に支えていた人が亡くなった場合、その遺族に支給されるのが遺族年金です。遺族年金は老齢年金と同様に2階建ての仕組みになっており、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があります。遺族基礎年金は18歳以下の子供がいる場合に支給され、子供が1人なら年間約100万円、2人ならば年間約120万円を、子供が18歳になる年度末まで受け取れます。

※子のある配偶者が受け取る場合。年額79万5000円+子の加算額(2人までは各人に約22万円、3人目以降は1人につき約7万円)

もう1つの遺族厚生年金は、亡くなった人が厚生年金加入者だった場合に子供の有無に関係なく遺族に支給されます。また、厚生年金加入者である夫が亡くなったケースで、子供が高校を卒業するなど遺族基礎年金が終了すると、妻が65歳になるまで支給される「中高齢寡婦加算」という制度もあります。これは、妻の老齢基礎年金の受給が開始されるまでのつなぎの役割を果たします。妻だけが対象なのは、「男性が主として家計を支え、女性は扶養される」という昔ながらの価値観が残っているからです。

【図表1】会社員男性(妻と子供2人)の遺族年金

中でも、既婚者の遺族厚生年金の受給要件に男女差がある点には注意が必要です。厚生年金の保険料は男女関係なく標準報酬月額によって決まりますが、給付額は男女で異なり、妻が亡なったときのほうが少なくなります。例えば、妻を亡くした夫は55歳以上でないと受給できません。受給権は子供に移りますが、子供がいなければだれも受け取ることができないのです。

【図表2】会社員女性(夫と子供2人)の遺族年金

ライフスタイルが多様化し、共働きが一般的になった現代では、子供が小さいうちに亡くなったときのリスクは男女ともに同じです。夫が亡くなることを考えても、妻が亡くなる経済的リスクを考えたことがある人は少ないかもしれません。お客様に保険商品を提案する際は、まず「国の制度に男女差があることをご存知ですか?同額の保険料を払っていても、万が一のときの保障が男性と女性で異なることがあります」と、知識の提供から始めます。お客様のためになりますし、保険にも関心を持ってもらいやすいのではないでしょうか。

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【第1回】ライフプラン提案は公的保険制度の理解が大前提
【第2回】病気やケガで働けないときの「最大損失額」を想定する

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