複数の資格取得や投信セールスのための勉強に励まれている方は多いでしょう。多忙な業務のかたわら、効率よく勉強するにはどんな方法が有効なのか。どう時間を捻出すればよいのか。人事異動もあるなか、どのようなキャリアプランを描けばよい? 結婚や出産後も働き続けるには? ……などなど、身近な同僚や上司に聞くには少し勇気のいる素朴な疑問に、全国の同期や先輩方がどのようにキャリアを重ね、課題をどう乗り越えてきたのかを、匿名で打ち明けます。
第3回は、 ねこみみさん(50代・女性)におうかがいしました。
- 名前
- ねこみみさん(50代・女性)
- 入社
- 1992年
- 業種
- 証券
- 経歴
- 地方銀行に入行後、営業や窓口業務、本部での年金相談業務などを経て個人渉外を担当
- 現在
- 2021年より関連会社の地銀系証券へ出向。ゴールベースアプローチを踏まえた資産形成の提案を行う
「一度教えたことは二度と聞かないで」と言われた新人時代
──これまでの経歴と現在のお仕事内容をお聞かせください。
1992年に地方銀行に総合職で入行し、1年目は当座預金や窓口の販売員、融資の事務を、2年目は融資渉外を担当しました。当時、支店初の大卒女性の総合職配属であったため、どのような仕事を任せてよいか現場でも方針が定まらない状況が続きました。今の時代では信じられないかもしれませんが、先輩は「一度教えてノートにメモを取ったことは二度と聞かないで」と冷たかったり、一人だけ昼食を用意されなかったりすることもあり、昼休みは一人会議室で銀行業務検定の勉強をしていました。2年目に入るとそういった扱いは収まりましたが、代わりに1つ下の後輩が私と同じように冷遇されるという悪習があり、離職率の高い支店でした。つらい初任店の2年間をバネにして大抵のことは乗り越えられるようになったため、今ではいい経験だったと思えています。
3年目は支店に配属された総合職の女性は本部に異動となり、その後私は10年間本部に所属していました。本部に異動後は、1990年代半ばの銀行では新規事業のM&A(合併・買収)やFA(ファイナンス・アドバイザリー)などを担う信託業務の担当者として、土地信託や特定贈与信託、公益信託などを取り扱いました。具体的には、信託の会計・決算処理、奨学金、環境保全基金の運営や官公署への報告などです。
2000年に社会保険労務士に合格して翌2001年に登録すると、同部内の別部署である年金センターでの年金相談を信託業務と掛け持ちで担当することに。その後、勤務社会保険労務士として正式に年金相談センター係になり、年金教室の講師を務めるようになりました。
──資格を取得し、「年金のプロ」としての道を歩み始めたわけですね。
2003~2004年にかけては結婚して妊娠し、本部から営業支店へ異動しました。ここで初めて預かり資産(投信、保険、債券、外貨預金、金融商品仲介)渉外担当となりましたが、支店長や行員、パートの皆さんがあたたかく指導してくれたことを覚えています。2005年に出産して1年産休を取得し、2006年に復帰して再び預かり資産渉外を務めました。職場の同僚に恵まれ、残業なし・飲み会参加なしの体制を整えていただき、親の支援を受けつつ子育てしながら勤務を継続できたことに感謝しています。
2007年には本部へ異動となり、本部の「預かり資産専担者」となりました業務内容は営業店渉外のアフターフォロー代替、富裕層営業、若手育成、支店のサポートと変わっていきました。最後の5年は本店駐在として支店の営業体制や行員指導、若手研修、職域での金融研修を務めました。
2017年、「発展的解消」との名目で預かり資産専担者制度がなくなると同時に、営業店へ異動しました。新たにできた「資産運用コーディネーター」として預かり資産営業を担い、若手の指導や、富裕層営業に携わりました。2021年、系列証券会社へ銀行籍のまま出向(証券営業)し、現在に至ります。
現在の仕事の内容は証券営業で、取扱商品は投資信託、外国債券、国内外の株式です。顧客は主に銀行の担当支店の行員からの取り次ぎで、行員同席でライフプランに応じたゴールベースアプローチを踏まえた金融資産トータルの資産提案を行い、その一端として証券商品を提案します。販売商品は、2022年4月から仕組債(日経リンク債)、2023年10月から仕組債(EB債)、2023年4月から投資信託が中心です。
個人営業に役立つのは社会保険労務士とFP1級の資格
──取得したことで特に業務に役に立ったと感じる資格は?
業務に携わりながら、「自分はもともといらない人材だった」という悔しい思いから、これでもかと資格を取得していきました。取得した資格は下記の通りです。
- 公的資格
- 銀行業務検定
- 銀行関連
1992年珠算検定3級、1993年簿記検定3級、英語検定2級、1994年宅地建物取引士、1998年簿記検定2級、2000年社会保険労務士、2003年FP技能検定2級(資格)(個人資産相談業務)、同(中小事業主資産相談業務)、2008年FP技能検定1級(学科)、2009年同(資格)(資産相談業務)、2022年ITパスポート試験。他、大阪商工会議所メンタルヘルス・マネジメント検定試験3級
1993年財務3級、法務3級、1994年税務3級、信託実務3級、1995年外国為替3級、金融経済3級、証券3級、1996年窓口セールス3級、1997年融資渉外3級、2000年年金アドバイザー3級、2003年年金アドバイザー2級、2017年金融業務2級事業承継・M&Aコース、2019年AML/CFTスタンダードコース、2020年金融業務3級シニアライフ・相続コース、金融業務2級資産承継コース、相続アドバイザー3級
1992年第二種証券外務員認定試験、第一種証券外務員認定試験、1999年日証協内部管理責任者資格試験、2000年損害保険資格資格(初級)、2002年生命保険募集人資格(初級)、生命保険募集人資格(統合)、2006年会員二種外務員資格、2007年会員一種外務員資格、会員内管外務員資格、2008年地銀協コンプライアンス検定(一般クラス)、2009年地銀協コンプライアンス検定(次長クラス)、2020年生命保険募集人資格(外貨)、※2017年個人プロフェッショナル(行内資格)
取得した資格の中で、個人営業に役立ったのは社会保険労務士とFP1級です。名刺に資格があるだけで、お客様から「話を聞いてみよう」と言われます。
当初は年金相談の業務を目指していましたが、個人預かり資産に携わったことで提案の幅が広がり、今はもっぱら投資信託を紹介しています。知識も人との関わりも、のちのちどこでどう役に立つかわからないものだと感じています。
ねこみみさんへのインタビュー【中編】は●日に公開こちらから
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