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金融機関に対する保険会社のサポート体制について取り上げる本企画。今回は、三井住友海上プライマリー生命が実践する教育・研修に関する最新の取り組みについて紹介する。
(『保険マーケティング』2022年6月発行号より転載)

オンラインと対面で同時に研修を受講できる仕組み構築

三井住友海上プライマリー生命は、金融機関代理店・募集人を対象とした教育・研修の提供に力を入れてきた。その拠点として機能してきたのが東京と大阪に設けた自社研修施設の「SUCCESS研修センター」だ。ここで販売スキルの向上に資する各種研修などを対面で行い、金融機関の人財育成に貢献してきた。

コロナ禍でオンライン研修のニーズが高まると、2021年4月に東京本社に最新のデジタル機器を置くクリエイティブスタジオを設置。バーチャルスタジオからのライブ配信や勉強会動画の制作などを行うようになった。同年9月には名古屋と大阪にミニスタジオを設け、研修コンテンツの配信に力を入れるなど、コロナ禍でも途切れることなく教育・研修の機会を提供してきた。

しかし足元では、さらなる環境変化がみられる。オンライン研修が主流になる一方で、対面での教育・研修のメリットに再び注目が集まり、金融機関からのニーズが高まりつつあるのだ。そんな中、同社は2022年4月、「東京SUCCESS研修センター」にオンラインと対面で同時に研修を受講できる仕組みを構築し、教育・研修のさらなる充実を目指す。

講師や受講者を自動追尾するカメラを複数台設置したことで、さまざまな角度の映像を配信できるようになり、オンラインの受講でも現地にいるような臨場感を味わえるようになった。例えば、東京や大阪など複数拠点をつなぎ、複数のカメラ映像による臨場感のある映像を共有すれば、受講者がお互いに一体感を得られる研修が可能になる。金融機関の人材育成担当者や管理部門の行員が会場以外の場所から研修内容や受講状況を確認することも可能だ。

さらに、より多くの金融機関代理店が受講できるよう、貸出用タブレット端末を100台増設し、合計170台利用できるようになった。インフラ環境に制約のある金融機関代理店であっても、これを使うことで複数・同時のオンライン研修を受講できるようになるはずだ。

高齢者対応スキルを学ぶ研修。自学自習の「学びの場」提供

同社は、こうしたインフラのリニューアルに合わせて、コンテンツの充実にも一層力を入れる。その一つが2022年4月から提供を開始した「金融ジェロントロジー研修」だ。金融ジェロントロジーとは、加齢に伴う身体機能や認知機能の変化が経済・金融行動にどのような影響を与えるかについて研究する、近年、注目が高まっている学問だ。

「金融ジェロントロジー研修」の構成

本研修では、金融ジェロントロジーの学問的知見を踏まえた、高齢者対応のスキルが学べるという。具体的には、金融機関の募集人が加齢に伴う身体機能の変化を実際に体験したり、認知機能が低下した顧客に対応する具体的な事例を学んだりすることで、高齢の顧客に寄り添ったコミュニケーションのあり方を身に付けることができるという。

自学自習を支援するサイト「プライマリー・デジタルナレッジ」にも注目したい。これは「#プライマリー」「商品知識」「金融基礎知識」「コンサルティングスキル」の4つのカテゴリーで構成される動画コンテンツを掲載する専用サイト。隙間時間で学習できるよう5~6分程度の動画を多く掲載している。「#プライマリー」は、楽しみながら役に立つ情報を届ける。「年金のニーズ喚起につながる情報提供」「相続対策のニーズ喚起・声掛けのポイント」など、実践的な内容が満載だ。「商品知識」では、各金融機関が取り扱う同社商品のポイントや基礎知識を学べる動画を掲載。「金融基礎知識」は、主に公的年金制度・税金・介護のワンポイント知識を習得するためのコンテンツ。「コンサルティングスキル」では顧客へのアプローチやニーズ喚起資料の活用法などを学べる。2022年3月には、保険商品を提案する中でよくある質問をまとめた「Q&A機能」を追加した。カテゴリーまたはキーワード検索が可能となり、困ったことをその場で解決することが可能になった。

このように同社は金融機関のニーズに合わせてさまざまなコンテンツを用意し、それを対面・オンライン・ウェブサイトといった多様なインフラを使いながら提供している。今後とも「教育・研修のプライマリー」として確固たる地位を築くために有益な情報を発信していくという。

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