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昨今、あらゆる業界に DX(デジタルトランスフォーメーション)の波が押し寄せている。
保険や投資信託の販売を担う銀行には、どのようなデジタルの仕組みが求められているだろうか。
金融サービスの DX を推進するアイリックコーポレーションとフィンプラネットに話を聞いた。
(聞き手:株式会社エディト ファンドマーケティング編集部)

長谷部直大氏、畔柳主税氏

人材が限られるなかでサービスの平準化を模索

──銀行による保険・投資信託販売の現状は?

畔柳デジタルバンキングをはじめとするサービスの IT 化に伴い、各銀行とも店舗縮小の動きが顕著です。とはいえ、すべての顧客がデジタルで完結できるわけではなく、特に保険の検討では「人」のサポートが必要とされます。銀行としては、人材のリソースが限られるなかで、いかに保険の提案をしていくか。そのための手段のひとつとして DX を模索されています。
 アイリックでは、加入している保険の内容が一目で分かる「保険証券分析システム」を 28 行に提供し、集客に役立てていただいています。ただ、その先の提案では保険に対する理解が必要であり、限られた人材しか担うことができていないのが現状です。

長谷部投信も同じです。インターネットを通じて手軽に資産運用を始められるロボアドバイザーが普及しつつありますが、「投資は怖い」「何から始めればいいか分からない」といった悩みを抱える人はまだまだ多い印象です。「そもそも興味すらない」という人も少なくありませんが、豊かな老後生活を送るうえで、資産運用は多くの人にとって他人事ではありません。「人」を介在した適切なアドバイスが求められているものの、すべての銀行員が投資に精通しているわけではなく、質の高いサービスをいかに平準化して提供するかという課題をお持ちです。

──顧客が銀行に求めるサービスは?

畔柳保険と投信の両方を取り扱っているのが銀行の強みであり、ワンストップで気軽に相談・購入できるスタイルを求めていると思います。しかし、どちらも多くの商品があり、正しい商品知識や販売ノウハウを身に付けるのは簡単ではありません。最近では店舗縮小の流れのなかで新たに営業を兼務する銀行員も多く、負担が増している側面もあるでしょう。
 十分な知識がないと、売れ筋の商品を紹介するなど、単独の提案になりがちです。顧客からすれば「本当にこれでいいの?」という思いがあり、納得しにくいでしょう。銀行への信頼に応えるためには、複数商品の比較提案が重要ではないでしょうか。

長谷部ポイントは、「①商品比較で違いがわかる」「②自分にぴったりな商品を選べる」「③疑問・悩みはプロに相談できる」の 3 点に集約されると考えます。これらをすべて人の手でカバーすることは難しく、実現をサポートする手段としてデジタルを活用する意義があります。

一般の銀行員でもスムーズにガイドできる

──アイリックとフィンプラネットが提供できるソリューションは?

畔柳両社で、保険と投信の比較提案を実現するロボアドを開発中です。アイリックでは、生保販売支援システム「AS-BOX」をベースに、いくつかの簡単な質問に答えるだけで顧客の意向に合った保険の組み合わせを提案できるロボアドを開発しています。一般の銀行員さんでも、保険の比較・選定・相談をスムーズにガイドできます。

長谷部フィンプラネットは、変額保険のロボアドをベースに、同じく簡単な質問に答えるだけで投信のポートフォリオを組めるロボアドを開発しています。両社のソリューションを揃えることで、ワンストップで保険・投信を提案することが可能です。
 デジタルの仕組みを活用することで、行員の知識や経験に左右されない、サービスの平準化を実現できます。幅広い人材がロボアドを使って比較提案を行い、さらに詳しい話が聞きたければ専門知識を持つ行員が案内するといった流れもつくりやすくなるでしょう。

畔柳ロボアドの仕組みはほぼ完成しており、2022 年度中には提供開始したいと考えています。7月7日には長谷部さんと私の対談形式でセミナーを開催します。ご興味のある方はぜひご参加ください。

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