コメント (0)
人口減少や高齢化の進展とともに、経済の縮小や衰退が懸念される地域が増えています。地域経済を活性化させるためには、どのような取り組みが効果的でしょうか。そして地元の金融機関が果たすべき役割とは?中央大学客員講師の上野直昭氏が保険窓販を切り口とした地域創生のヒントを提案します。

免許返納者の駐車場をシェアするサービス

同じ金融業界のSOMPOホールディングスが、保険以外の業務として「個人宅や事業所で利用されていない駐車場を一般に貸し出すシェアサービスに参入」するために最大手akippa(アキッパ、大阪市)に出資したことは良く知られていると思います。

なぜSOMPOホールディングスが駐車場シェアサービスに参入するのかと思う方もいらっしゃるかと思いますが、そのスキームがユニークです。それは、「免許を返納した高齢者などに空いた駐車場を貸してもらい一般に提供する」というものです。

使っていない駐車場を貸し出すシェアサービスが登場
使っていない駐車場を貸し出すシェアサービスが登場

では、この情報はどこから来るのでしょうか?
それは保険会社管下の保険代理店です。保険代理店が自動車保険の契約を更改手続きにお邪魔した際にお客さまから「高齢になって運転が心配になったので免許を返納したので自動車保険は今年でやめます」と言われると、更改落ちの理由を保険会社に報告する義務があります。

この情報を活かして、自動車保険でお世話になった契約者に今度は空いた駐車場をお借りさせてもらって事業展開しようというスキームです。双方にメリットがある個人情報の活用で面白いと思われませんか。

銀行ブランドで「コミュニティ会」をつくる

この程度のことは銀行でも直ぐできると思います。しかも、もっと多種多様の情報が蓄積されていると思います。この蓄積された個人情報を蓄積したままにしておいて活用しないなんて「もったいない」と思われませんか。

その情報を双方にメリットがあるように具体的に活用できればいくらでも収益を上げることができると思いますがいかがでしょうか。

しかし、個人情報を教えたくないというお客様も多いと思いますし、こうした展開には消極的な銀行が多いと思いますので、最初の半歩として、銀行ブランドで「コミュニティ会」でも作られてはいかがでしょうか。

銀行ブランドで「コミュニティ会」を作ってみては?

銀行ブランドで「コミュニティ会」を作ってみては?

そして「こんなことをやりたい」「こんな趣味の人と知り合いたい」等といった限定した個人情報を、こんな時代ですので「動画」で撮影して、銀行支店内にコミュニティルームを作って流します。

そこに知り合いを作りたい人が集まって動画を観ることで、新しいコミュニティを作ることができれば、「もっと個人情報を使って」と個人情報の開放につながるかと思います。

生き残りのポイントは「地域住民とのつながり」

特にシニアについては、例えば「電気メーカーでこんな仕事をしていたので同じ業態の方と昔話をしてみたい」といった動画から集った方々で起業に繋がるかもしれません。また「年甲斐もある」色々なことに触れることで地域の活性化につながると考えます。

生き残りのポイントは「地域住民とのつながり」

銀行インフラを地域コミュニティに変える

ここから、地域コミュニティの抱え込み、地域マネーの創出等へと広がると考えます。銀行はいかに地域住民と密になれるかが生き残りのポイントだと考えます。

銀行インフラを集える場所に変貌させるために、個人情報を動画で流し、コミュニティを創出することで地域を支えるという取り組み、トライしてみませんか。

  • 上野直昭(うえの・なおあき)

    中央大学 経済学部 客員講師
    一般社団法人 保険健全化推進機構 結心会 会長

    日本火災海上保険(現損保ジャパン日本興亜)に入社後、損保マンとして経歴を重ね、2005年3月株式会社保険市場取締役就任し全国に保険ショップ保険市場を展開。その後、保険市場ショップを譲受した全国の保険代理店を組織化し一般社団法人保険健全化推進機構結心会を設立。保険ショップ定着を指導するなど保険販売の現場で幅広く活躍。

コメントを書く