好立地のインフラを有効活用しないなんてもったいない!
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人口減少や高齢化の進展とともに、経済の縮小や衰退が懸念される地域が増えています。地域経済を活性化させるためには、どのような取り組みが効果的でしょうか。そして地元の金融機関が果たすべき役割とは?中央大学客員講師の上野直昭氏が保険窓販を切り口とした地域創生のヒントを提案します。

15時に閉まるのは商店街にとって迷惑!?

真偽は別として、金融庁の方が昔、「駅前商店街の真ん中に広い間口を有しているにもかかわらず15時で閉まる店舗があり、商店街の活性化にとって迷惑」と話したそうです。

銀行の支店は大抵「目抜き通り」にあって、駐車場もあります。この立地とインフラを活用しない手はないと思いますが、いかがでしょうか。

同じように好立地のインフラを使って周辺住民や既存のお客さまに気軽に立ち寄っていただく場作りをして「ファン化」に取り組む企業があります。どの業態だと思われますか?

答えは「車のディーラーや大型整備工場」です。電気自動車が普及して「自動車が家電」となりつつあり、さらに「自動運転」となればますますマイカーを持つという時代ではなくなります。

いま自家用車を持っているお客さまを、車以外のお客さまとすべく、「ショールーム」を活用したいろいろな取り組みをしています。例えば、ショールームをレンタルスペースにして、シニアだけのヨガ教室や英会話教室を開催したり、子どもたちを集めてのキッズマネースクールを開催したりしています。

ショールームでヨガセミナーを開催する自動車ディーラーもある
ショールームでヨガセミナーを開催する自動車ディーラーもある(写真はイメージ)

また、滞在時間を延ばすために昼にはランチカーを入れさせて食事もできるようにしていています。2年に1回の車検や車の調子が悪い時だけしか来ないお客さまや、自社の顧客ではない周辺住民を呼び込み、車以外での関係強化を図ることで、レンタルフィーが収益となるだけでなく、結果的に本業に繋がっているのです。

地域の認知症予防に取り組む自動車ディーラー

こうした展開を実際に奈良県の株式会社ガラージュモリ(奥谷丈輝社長)ではされています。周辺住民のシニアを集めての認知症予防にも取り組もうとされていて、車のディーラーが地域を支えようとしています。

また、イオンモールがオフィス併設を拡大させていることをご存知でしょうか。商業施設自体の集客力が大幅に低下し、テナントが集まらないため、スペースをオフィスにして貸そうとしています。

シェアオフィスは東京ではさまざまな場所にあり、月々1万円程度で1人分のスペースを借りることができます。若い起業家やシニアの方も多く、いつも満席です。これを銀行支店の2階を開放して貸し出し、若手や女性、シニアなどさまざまな起業家に使ってもらい、地元企業とのマッチング、融資等でも支援してあげれば、地方創生に繋がると思います。

とはいえ、銀行が直接やるのは難しいかもしれません。そこで子会社の保険代理店に店舗を売却して、いろいろな取り組みをされることを提案します。

1階を保険相談が出来るショップと周辺の方が気軽に立ち寄れるカフェにして、2階をレンタルオフィスとレンタル教室として貸し出してはいかがでしょうか。

お金や健康をテーマにしたシニア向けセミナーなど、地域活性化につながる取り組みは数多くある
お金や健康をテーマにしたシニア向けセミナーなど、地域活性化につながる取り組みは数多くある(写真はイメージ)

「がん患者によるセミナー」「地元ドクターによる生活習慣病の改善についてのセミナー」「シニアの資産形成セミナー」「子育てママ支援セミナーなど、やることはいくらでもあります。

せっかくの資産である好立地のインフラを「外に向かって提供する」ことだけで地域活性のハブとすることができます。もったいないと思われませんか?

  • 上野直昭(うえの・なおあき)

    中央大学 経済学部 客員講師
    一般社団法人 保険健全化推進機構 結心会 会長

    日本火災海上保険(現損保ジャパン日本興亜)に入社後、損保マンとして経歴を重ね、2005年3月株式会社保険市場取締役就任し全国に保険ショップ保険市場を展開。その後、保険市場ショップを譲受した全国の保険代理店を組織化し一般社団法人保険健全化推進機構結心会を設立。保険ショップ定着を指導するなど保険販売の現場で幅広く活躍。

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