単なるブレストにも機密保持契約書が必要
数年前にある銀行から「銀行支店等を活用して保険の取得と地方創生に繋がる仕掛けを考えたいのでブレストする時間をいただけませんか」という依頼をいただきお邪魔しました。
驚いたのは、あくまでブレストの範ちゅうと念を押されたにも関わらず、「事前に機密保持契約書を交わしたい」と言われ、「貴行の書式を送って下さい」と伝えたところ、何と結構厚い契約書が送られてきて、実際に機密保持契約書を交わすまでに2カ月くらい要したことです。
ジャストアイデアしか出ないようなブレストなのに、ご丁寧なことだと半ば呆れ、生き残りのための限られた時間をこんなことで費やすのかとの危機感の欠如を憂いました。
で、ようやく銀行にお邪魔して参加者にご挨拶しましたが、皆さん40代前後でした。
ブレストの中、シニア対策の話となり、「退職したシニアを対象に起業セミナー」を提案しました。退職されたシニアの経験値を活用し起業できれば、地元ならではのビジネスモデルやモノ作りが出来るのではと提案し、融資の話等々にもつながり、地方のシニア活性化に銀行が軸となって動くことで銀行としての存在感を示すことができるのではないかと話しました。
そうしたら「セミナーはいつどこで開催しますか」と聞かれたので、「銀行が休みの土曜日の午前中に、銀行所有のホールで」と答えたところ、「休日に来場されたシニアが階段で転んでケガをした場合は誰が責任を取ってくれるのですか」と言われました。

変革を起こせるのは、若者、馬鹿者、よそ者
一事が万事で、こうした内容のブレストを繰り広げましたが、重箱の隅をつつくようなネガティブ発言の連続で疲れてしまいました。
思えば、40代前後の方は金融庁のマニュアル世代。マニュアルに沿ってやっていれば良いという時代を過ごしてしまうと、こういう発想にしかつながらないのだなと思いました。
「処分庁」だった金融庁がいきなり「育成庁」になっても、その時代しか知らない方に新しい発想は無理だと思いました。よく「変革を起こせるのは、若者、馬鹿者、よそ者」と言われていますが、銀行内にこうした人材はいない訳ですので、外部と提携するしか手はないと思います。それでしか変革の波のスピードについて行けないと思います。
保険の概念そのものが鎌倉時代からの「講」や「無尽」に戻ろうとする中、地域を押さえている銀行は、地域の住民の声を聴いてオリジナル保険商品を作るなどといった「保険を軸とした地方創生」を構築することができると考えています。
そこで、「銀行で、こんなことをやったらどうですか」というテーマで色々と勝手な思いを寄稿したいと思います。お付き合い宜しくお願い申し上げます。