金融機関が顧客に果たすべき義務として「フィデューシャリー・デューティー」の実現が求められている中、近年資産形成の王道のように扱われる「インデックスファンド×積立投資」を提案することが正解なのだろうか。NTTデータ・エービック P&Cオフィスの生井澤浩氏が、アカデミックな視点も踏まえて考察する。
(『ファンドマーケティング』2024年10月発行号より転載)
昨今、猫も杓子も『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(以下『オルカン』)』である。
米経済学者のジェームズ・トービンは、投資家のポートフォリオ構築には2段階の手順があるとする「分離定理」を提唱した。第1段階は株式などリスク資産のみの組み合わせで、これをトービンは「接点ポートフォリオ」と呼んだ。そして第2段階は、第1段階で組成した接点ポートフォリオと安全資産との間で自らにとって最適な配分を決めるというものである。
確かに理論上はトービンの分離定理が示すように、マーケットが効率的ならば、全ての資産で構成されるポートフォリオと安全資産の配分比で株式、債券などで構築される有効フロンティア(最も効率的に運用できる資産配分を示す線)を上回る運用ができる。『オルカン』は正にその接点ポートフォリオを実現したものと言ってよいだろう。
しかし、この理論に即したポートフォリオ構築が正しいかどうか、もう一度考えてほしい。仮に正しければ、「顧客の目的に即した商品」や「顧客のリスク許容度に即した商品」などは必要ないのだろうか。この疑問に対して、今回はアクティブファンドの活用について再考してみたい。
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