ポジティブ総研とネガティブ総研
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経済や社会の注目テーマを「ポジティブ」と「ネガティブ」の両面から分析し、その本質に迫る本コーナー。講師の解説を、投資信託の商品理解や顧客への説明に役立ててほしい。今回のテーマは「外国債券投資のゆくえ」だ。
(『ファンドマーケティング』2023年6月発行号より転載)

視点1
利下げの有無をめぐり中銀と市場予想に差

荒磯 亘氏
アライアンス・バーンスタイン
執行役員 運用戦略部長
兼 ポートフォリオ戦略室長
荒磯 亘

2022年は、新型コロナウイルス禍からの経済活動正常化を背景としたモノ・サービスの需要増やウクライナ情勢による供給制約などからインフレが加速しました。各国中央銀行は、インフレを後追いするかたちで利上げを断行。市場の予想以上の引き上げ幅および速さだったことから、債券市場は大幅下落のサプライズとなりました。

モノの値段が上がり、貨幣の価値が下がるインフレ環境下では、キャッシュフローの塊(かたまり)である有価証券の価格は下落圧力を受けます。一般に、株式と債券には逆の相関があるとされていますが、2022年は株式や債券をはじめ多くの資産の「連動性」が高まり、分散しようにも逃げ場がありませんでした。

2023年に入り、多くの国で政策金利が物価上昇率にようやく追いついてきました。では今後どうなっていくのか、3つの着眼点で整理していきましょう。1つ目は、政策金利の動向です。まずは、利上げがいつ終了するのか。ブラジルやチリ、カナダ、オーストラリアなどでは既に利上げが打ち止めになっていますが、世界経済の本丸である米国および欧州では利上げサイクルはまだ終了したとは言えません。

次に、利下げが行われるか否か。FRB(米連邦準備理事会)やECB(欧州中央銀行)が「インフレ退治を優先する」というメッセージを出している一方で、市場は「利上げは行き過ぎ。すぐにでも利下げされるだろう」と予想しています(図表1)。

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