投資信託のオンライン購入が広がる一方、直接やり取りできる安心感から販売会社の窓口を希望する人も多い。このようなセールス機会を着実に成果に繋げるには、販売業務をサポートしてくれるデジタルツールの活用が有効だ。投信の販売促進システムを開発・提供する3 社に話を聞いた。
(『ファンドマーケティング』2023年6月発行号より転載)
ゴールベースアプローチを1つのツールで完結
ビッグデータによる精緻なシミュレーション
外訪先や店頭でのセールス業務にタブレットを活用する販売会社が増えている。デジタル化により業務効率化やペーパーレス化が進む一方で、顧客への提案にもうまく活用したい。
タブレット型の資産運用アドバイスツールの1つに「Wealth Advisor」がある。ウエルスアドバイザー 取締役 セールス&マーケティング部長の望月靖浩氏は「初代iPad が発売された2010 年から将来的に販売会社が活用するであろうことを見据え、いち早く当ツールを提供してきました。当初は投資信託の機能のみだったものの、ライフプランや相続、NISA(少額投資非課税制度)・iDeCo(個人型確定拠出年金)なども1つにまとめられないかとのご要望を受け、機能強化およびアップデートを重ねてきました」と開発の背景を明かす。
「Wealth Advisor」では、投資信託の基準価額やパフォーマンス推移のほか、その販売会社の取り扱い商品の中で、複数のファンドのリスク・リターンを横並びで比較したり、組み合わせた場合の分散効果などを確認できる。さらに、第三者評価機関である同社独自の「ファンドレーティング」機能は、客観的な投資アドバイスとしてセールストークに盛り込めるのも特徴だ。
コンサルティング機能としてはアドバイス型のロボ・アドバイザーを搭載。質問に対する回答を選択していけば、最終的にその販売会社の商品ラインアップから顧客の希望に合うファンドを表示する。
金融庁から顧客本位の業務運営が求められる昨今は、従来の「商品先行型」の販売手法から「コンサルティング型」への移行が問われる変革期だ。ゴールから逆算して必要な運用プランを導き出す「ゴールベースアプローチ」が注目を集める。一方、①顧客のライフプランをヒアリングし、②目標と現実の資金ギャップを確認した上で、③それを達成する投資計画を立案し、④ポートフォリオをつくり、具体的な金融商品に落とし込む─という一連の流れを遂行するのは非常に難しい。ある程度顧客と関係性を構築できていないと話してくれなかったり、面談が長丁場になったりしがちだからだ。
そのため「Wealth Advisor」では、できるだけ短くかつ簡単にシミュレーションを進められるように設計しているという。「ボタンを押していくだけで、お客様のニーズ喚起からファンド選定まで、資産運用の最初から最後まで計画できるのが重要です。ネット証券・ネット銀行の口座開設数や利用率が増加している中でも、『大きなお金を投資するなら、まず誰かに相談したい』と考える人は多いと思います。販売員の価値は、お客様と直接コミュニケーションをとれること。『コンサルティング』『ライフプランニング』と思うと力が入りすぎてしまうかもしれませんが、コミュニケーションを活発化させることを目的に、難しそうな印象を与えないようにつくりこんでいます」(望月氏)。
ライフプランシミュレーションでは、これまで全国平均など日本の統計情報 を基にしていたが、新型版では、地域別不動産データや上場企業の賃金カーブ、具体的な学校別の大学費用など、より膨大なビッグデータを活用。具体性を持たせることで、顧客が興味を持ちやすくなるという。
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