富国生命投資顧問は2022年11月、『ESG投資 持続可能な将来設計』を出版した。ESGが注目される理由やチェックすべき指標など、投信販売員が押さえておきたいポイントが満載。運用会社がどのようにESG投資を実践しているかを具体的に解説しており、投信販売担当者がお客様へ説明する際に役立つ一冊だ。
将来設計の準備のためのアイデアと運用の基本知識をカバー
『ESG投資 持続可能な将来設計』は183ページ、5章構成。最近メディアなどでも頻繁に登場する「ESG」というキーワードを軸に将来設計の準備をしていくためのアイデアが詰まっていて、資産運用に関する基本もおさらいできるのが特徴だ。
日本は諸外国と比べて急速な高齢化社会になっており、自分たちの老後資金を若い人々の働きによる公的年金などに頼り切ることが危険な時代を迎えている。同書は、「資産運用のことはよく分からないけれど、老後の年金は国が何とかしてくれる」などと安閑に構えずに、私たちはどういうかたちで老後に備えていくべきかを、運用会社の視点でまとめている。
ESGとは、英語のEnvironment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治<コントロール>)の頭文字を並べた用語であり、ESG投資というのはこれらの点を投資判断に組み込む手法だ。
「今話題になっている地球温暖化という問題にせよ、企業活動における人権問題にせよ、過去における状況のように企業が自らの利益だけを優先する姿勢を続ければどうなるでしょうか。仮にその企業は収益を上げ続けることができたとしても、しまいにはその企業の活動そのものにも限界が生じることはもちろん、地球環境や社会全体に負荷がかかり、経済活動の前提となる人々の生活が脅かされる事態が生じます。こうした問題意識から生まれたのがESG投資です」(富国生命投資顧問)

積み立て投資のメリットを活用するきっかけに
一般にESG投資は、従来の経済活動に加え、これら環境や社会に対する企業活動の影響も考慮し、企業の取り組みを通じて持続可能な社会維持と企業収益向上の共存を目指すものと定義されている。
「同書で最もお伝えしたいのは、最終投資家となる皆様一人ひとりと、当社のような運用を仕事とする者とが一緒になって、将来の環境や社会を持続可能なものにすることこそが、ESG投資の目的であること。そして、ESG投資というものが長期投資を通じて皆様に老後の資金と世の中の豊かさを提供する手段であり得るということです」(富国生命投資顧問)
現在、国も長期投資を個人に積極的に推奨しており、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)など税制上の優遇措置を用意している。「個人投資家の皆様には、こうした手段を有効に活用し、世の中の持続可能性に貢献しながらしっかりと老後資金を蓄えていく手段の一つとして、ESG投資に注目していただきたいのです」(富国生命投資顧問)。
同書では、運用会社が単なる雰囲気や看板ではなく、ESGというテーマに体系的かつ真面目に取り組んでいることを伝えるため、富国生命投資顧問が実践しているESG投資のノウハウを具体的かつ丁寧に説明している。
「本書が、皆様のESG運用に対する理解を深め、それの持つ資産形成や将来社会の持続可能性に対する意味を確認しつつ、積み立て投資のメリットなども活用しながら、資産運用に取り組んでいただくきっかけになれば幸いです」(富国生命投資顧問)