三井住友DSアセットマネジメントでは、「食」にまつわる企業のなかで、新技術などでイノベーションを起こししていく企業に着目した『フード・イノベーション厳選株式ファンド(愛称:世界の食卓)』を2020年2月14日に設定した。販売会社からの反応が非常に良く、同社では「アナログ」と「デジタル」の両面から活用できる、独自の販売サポートツールを用意しているという。三井住友DSアセットマネジメント投信営業部チーム長の森正博氏に話を伺った。

インフレに対応する“身近なテーマ”のファンド

──このファンドを立ち上げた経緯を教えて下さい。

森 正博氏

三井住友アセットマネジメント
投信営業部チーム長
森 正博

このファンドの立ち上げに関わっていただいた販売会社様から、当時「日本は長らくデフレだったが、いずれインフレになる転換点がくるだろう。その時に、しっかりとパフォーマンスが取れるファンドをつくりたい」といったご要望を受けて検討を重ねた結果、最終的にフードという分野に着目して設定することになりました。
 2020~2021年は“米国、大型、グロース”などがキーワードになるような相場が続いていましたが、今年に入ってから大手の証券会社が一部バリュー株等に取り組むようになるなど、これまでの米国、大型、グロースとは違うものに目を向け始めました。そうしたなかで販売会社のご本部に話を伺うと、 “インフレ対応”した商品ラインナップの拡充にご興味をお持ちでした。

この「フード・イノベーション」のポートフォリオは、素材や生活必需品などの、いわゆるバリュー的要素はありながら、インフレに対応できるようなセクターのウェイトが高くなっております。切り口としては、短期的にはインフレ対応になりますが、長期的には世界の人口増加に伴う需給ギャップを埋めるソリューションを持つ企業にとってはビジネスチャンスとなり、その恩恵を受けることが期待できます。また、 従来のテクノロジー関係に投資するファンドとは違い、セクターや地域が米国に多く寄っていないため、 “米国、大型、グロース”に片寄っているところを分散させる効果もあるでしょう。

──販売会社からの反応はいかがでしょうか。

現在、多くの販売会社様からご注目いただいており、問い合わせも増えて来ています。フードというテーマはとても身近で、例えば今年の5月くらいからランチの価格が上がって来ていているとか、新聞でも毎日のように「〇〇の料金があがった」などと取り上げられています。このファンドは愛称を“世界の食卓”と付けていますが、食の領域というのは我々の生活に密接に関わる分野なので、お客様にも興味を持っていただきやすいようです。

インフレ関連のキャッチ―な話題に沿った新聞記事集

──サポートツールとして、インフレに関する新聞記事集やデジタルツールを作成しているということですが、具体的に教えていただけますか。

新聞記事集は、話題が豊富なインフレについて、第三者的な目線でお客様にご説明できるようにと作成したものです。販売会社様からのご希望があれば印刷して納品しています。
主に日本経済新聞の記事を掲載していますが、インフレ関連の記事は数多く内容も多岐に渡るため、例えば当ファンドの上位銘柄にも含まれている“肥料”や“農薬関係”というように、その時々のキャッチ―な話題やキーワードに沿って編集しています。例えば肥料といえばウクライナ情勢により価格が高騰していますが、その恩恵を受けている企業があるといった流れで、ファンドの解説にも結び付けられます。
今後も、インフレ関連のニュースのトレンドが変化したタイミングなどで内容を更新していきたいと思います。
また、同ファンドは「プラットフォーマー」「新技術提供企業」「新市場開拓企業」の3つのカテゴリーに注目をしています。このため、これらのカテゴリーに該当するような新聞記事に着目していきます。

──デジタルツールでも、何か工夫をされているのでしょうか。

当社では『メクリブ』というツールを活用して、販売用資料をデジタルブック化しています。販売会社でデジタルツールやタブレットを利用した販売が広がるなか、こちらも喜ばれている販売サポートツールです。販売用資料のページのなかに商品の解説動画を埋め込んだり、株価のチャートを立体的に見せたりするなど、デジタルツールならではの仕掛けが可能で、インターネット環境があれば、どこでも使えます。全てを紙の資料でというよりも、一部を動画でお見せした方が、よりファンドのイメージを持っていただけるのではないかと思います。販売会社様からも「動画のクオリティが高い」といった評価をいただいています。

フード関連新聞記事集の表紙と中ページ。同ファンドに関連したテーマに沿って編集している。

フード関連新聞記事集の表紙と中ページ。同ファンドに関連したテーマに沿って編集している。

ご高齢のお客様とも話題を共有して一歩踏み込んだセールスを

──アナログとデジタルの両面で販売サポートツールを作成されているのですね。

販売会社でもデジタル化が進んでいる一方で、高齢者のお客様などは、まだまだ紙のツールの方が読みやすいといったニーズもあります。こうした声にお応えするために、当社ではアナログとデジタルのツールをそれぞれ充実させるように取り組んでいます。
また、7月には、「オイルショック」など、過去のインフレやインフレ時の資産の動きについて解説する資料「With INFLATION」を作成しました。多くの販売ご担当者様はデフレの世の中しか経験していないなか、当時を知るご高齢のお客様と「あの時大変だった」といった話題を共有することが出来ます。インフレになった場合に、どの程度資産が目減りするのかといったシミュレーションや、インフレの時に強い資産として、株式や不動産、物価が上がるためコモディティといった資産についても解説しているため、一歩踏み込んだセールスにご活用いただけると思います。

──こちらのツールはどのように利用していただきたいですか。

セールストークのなかで「インフレ」といっても響かないお客様もいらっしゃるので、ニーズ喚起の情報提供資料としてご活用いただきたいですね。そのなかで、フードの分野に興味を示されたら、新聞記事集を使ってさらにご説明いただき、最終的にはデジタルブックをお見せして、このファンドに落とし込んでいただければと思います。

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