オンライン化や「AI(人工知能)」の普及により金融情報や商品知識そのものの価値が変化するなか、対面で顧客と接する金融機関の販売員には顧客の目標や不安を引き出し、長期的な信頼関係を築く力が一段と求められています。海外アドバイザーの実務や顧客対応の考え方から見えてくるのは、商品説明にとどまらない対面営業の役割です。米国アドバイザー教育を日本向けに展開する「キャピタル・ラーニング」の知見から、これからの販売員に必要な付加価値を探ります。
(『ファンドマーケティングvol.84』2026年7月13日発行号より転載)
「IQからEQへ」シフトするアドバイザーの役割

クライアント・エデュケーション部 ヘッド
キャピタル・ラーニング・コンサルタント
嶋田 京子氏
近年の金融業界は、資産運用ビジネスのあり方を左右する大きな構造変化が進んでいます。その象徴が、高齢の富裕層・資産保有層から次世代へ、相続や贈与を通じて大規模に資産が移っていく「富の大移動」です。重要なのは、単に資産の保有者が変わるだけでなく、その移動に伴って、これまで築いてきた顧客との関係性まで途切れかねない点です。米国の調査データでは、「遺産を相続した次世代が同じアドバイザーを継続する割合は約2割(7割以上が継続しない)(※1)」という結果があります。
※1 Cerulli Associates の調査(CNBC「Inside Wealth」にて報道。2025年10月16日)
この世代交代に伴うアドバイザーの変更は、海外に限った現象ではありません。日本でも、親世代が地域金融機関と長年の付き合いをしていても、相続を機に都市部に住む子ども世代が別の金融機関へ資金を移すケースが見られ、配偶者や次世代との接点づくりは地域金融機関や証券会社にとっても避けては通れない課題です。
このような競争環境のなかで、顧客に選ばれ続けるためには何が必要なのでしょうか。米国のアドバイザーが歩んできた歴史的変遷は、日本の販売現場にも通じる示唆があります。
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