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“5年後までに15%の上昇をめざします”と、最初にゴールを示し、達成したら債券中心の運用に切り替えて資産を守る。そんなコンセプトで設定され、達成を積み重ねている注目のファンドがある。あおぞら投信の「ぜんぞう・十年十色シリーズ」だ。ユニークなファンドが生まれた背景と成功の舞台裏について、同社取締役会長の柳谷俊郎氏に話を伺った(連載第2回/全3回)

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あおぞら投信 “人生を楽しむための資産運用”のために

──「ぜんぞう・十年十色シリーズ」の運用は、何故、こんなにも順調なのでしょうか。やはりディメンショナルとの出会いが大きかったですか?

柳谷そうですね、大きかったです。“5年後までに15%の上昇をめざす”といった、最初にゴールを示して、そこに向かって運用をしていく場合、私は「市場を当てにいく」ことが必要かなと考えていました。株価が上昇する銘柄を、高い確率で当てて行く。難しそうですが、それしかないのかなと。

あおぞら投信
取締役会長 柳谷俊郎

──それは、かなり実力のあるファンドマネージャーでも難しそうですね。でもディメンショナルの運用手法は「市場を当てに行く」運用とは真逆みたいですね。

柳谷ディメンショナル・ファンド・アドバイザーズの共同CEO兼CIOを務める、ジェラルド・オライリーは、市場を当てに行く必要はないと言いました。彼らは「市場価格を信じ、最大限に活用すること。そして世界への分散投資を行うこと」がベースとなる運用哲学だといいます。さらに「世界的な分散投資を行うことで、株、債券など逆相関が効き、ある市場が下がっていても、他の市場が上昇するといったことで良い結果につながる。従って分散投資はもっとも大切なこと」だと。

──「分散投資が大切」というと、いままで散々、聞かされてきたような、、ディメンショナルの分散投資には、何か特徴があるのでしょうか?

柳谷これが本物の分散投資だと思います。大まかに説明すると、まず、全世界(先進国23ヵ国、新興国23か国)でアクセスできる株式すべてを対象にして、そのなかから約1万1,200銘柄を選びます(2022年1月現在)。その内訳は、先進国約8,300銘柄、新興国約2,900銘柄です。

ジェラルド・オライリー氏

ディメンショナル・ファンド・アドバイザーズ
共同CEO兼CIO ジェラルド・オライリー

──うわ、ものすごい数ですね。この銘柄一覧94ページもある、、、(笑)。

柳谷さすがに、ここまでの分散投資には出会ったことがなかったです。究極の分散投資だと思います。彼らは毎日、これらを全て見直しているのです。例えば、中国の恒大集団も投資銘柄に入っていましたが、株価が下がり始める前に異変に気づき、少しずつウェイトを下げて行ったため、大きな影響は受けずに済みました。

──もう一つ気になっているのが、運用をスタートする時点では「債券9.5割:株式0.5割」というポートフォリオを、1年間で「債券4割:株式6割」にしていくという手法です。

■株式漸増(ぜんぞう)と安定的な債券運用への切り替え

柳谷「ぜんぞう=漸増」の由来でもある、だんだんと増やして行くということを「漸増」といいます。株価が変動するボラティリティを抑えて、「時間」分散の効果を最大限に引き出します。当社でシミュレーションを重ねた結果、このバランスでだんだんと増やしていくのが最も効果的という結論にたどり着きました。そして、目標の上昇率15%に到達した後は、安定的な債券運用に切り替えます。

──ディメンショナルの徹底的な分散投資と、御社で導き出した時間分散の仕組み。2つの工夫から生まれたファンドなんですね。次は「ぜんぞう・十年十色シリーズ」の人気の秘密を教えてください。

柳谷どうぞ、何でも聞いてください。

(※第3回へ続く)

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