日本企業のPBR(株価純資産倍率)改善を意識した増配や、配当にかかわる税金を非課税にできる新しいNISA(少額投資非課税制度)などを背景に、日本株を対象とした資産運用で「高配当」がキーワードとなっている。大和アセットマネジメントが2025年4月17日に上場したETF(上場投資信託)『iFreeETF ブルームバーグ日本株高配当50指数』は、少額から複数の高配当銘柄に分散投資が可能と注目を集めている。
上場記念セレモニーでの大和アセットマネジメントとブルームバーグの関係者

年4回の高頻度リバランス

東京証券取引所は、日本の企業が欧米に比べてPBRが低い傾向にあるため投資家の評価が低いと問題視し、2023年3月には自己資本に見合った適切な株価水準の維持を要請した。この「東証のPBR改革」を背景に、日本企業の間では、増配などの株主還元を通じて資本効率を上げる動きが活発化し、配当金総額は過去最高の水準で推移している。

一方、国内においては低金利環境が続く中、預金金利では資産を増やすことが難しく、国内の機関投資家を中心に企業の配当金を収益原資とする「高配当株ETF」の活用が加速した。「高配当株ETFの純資産残高は、2022年12月は約2764億円でしたが、2024年12月には約8950億円と2年間で約3.2倍に増加しています」(大和アセットマネジメント)。

高配当株ETFでは、少額からの複数の高配当銘柄に分散投資が可能。ETF内で利回りの高い銘柄に自動的に入れ替わる仕組みも内包しており、個別の高配当株を購入するより管理が簡単といったメリットがあり、自身の資産形成手段として検討する個人投資家も少なくない。

大和アセットマネジメントが運用する『iFreeETF ブルームバーグ日本株高配当50指数』は、複数のアナリストによる最新の配当予想データを活用。毎年1・4・7・10月の年4回の高頻度リバランスで、50銘柄に均等投資を行う。

「2025年4月17日現在、日本の投資家が東京証券取引所に上場している高配当の50銘柄を1株ずつ買うと15万円程度かかりますが、当ETFの最低取引金額は2000円程度。1つのETFに投資するだけで50銘柄同時に投資できるため、高度な分散投資が手軽に実践できます」(同社)

NISAなら配当の税金は非課税に

配当予想データは、ブルームバーグコンセンサスを利用し、予想配当データランキングから銘柄選定する。株価上昇率の高い銘柄の組入比率を下げ、低い銘柄を上げる均等加重リバランスにより、株価が上がった銘柄はいずれ下落し、反対に株価が下がった銘柄は反発することが多い「リターン・リバーサル(逆張り)効果」による運用益の積み上げを狙う。

■主要日本株高配当指数との比較


※2025年2月末時点
出所:各種データより大和アセットマネジメント作成

「ブルームバーグ日本株高配当50指数は国内の他指数と比較しても高いリターンを実現しています。TOPIX(東証株価指数)と比較すると、2017年3月末から2025年2月末で約1.4倍のパフォーマンスを発揮しています。お米やガソリンなどの価格が過去最高を更新するなど、日本ではインフレにより経済的不安が高まっています。高配当株は計画的・定期的に配当金が受け取れるため、インフレが進む中でもQOL(生活を質)を下げずに日々を過ごす支えとしても期待できます」(同社)

NISAでは配当にかかわる税金を非課税にできるため高配当株への関心が高まっている。日本企業の株価上昇を目指す経営改善トレンドとETFの分散投資の仕組みをベースに、高利回りと高パフォーマンスの両立を目指すETFは、米国の関税政策や地政学リスクの広がりなど先行き不透明な時代の資産運用の頼もしいパートナーとなるだろう。

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