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低金利による運用難が続くなか、リターン獲得手段の一つとして新興国資産の存在感が高まっている。一方、米国のテーパリング(量的金融緩和の縮小)のスケジュールが語られ始めたことで、新興国市場からの投資マネー流出への懸念が強まっている。強弱の見通しが入り交じる新興国資産とどう付き合うべきか。連載「Asset Watch 新興国資産編」第4回では、株式会社国際協力銀行(JBIC)ハノイ駐在員事務所 首席駐在員の安居院徹(あぐいん・とおる)氏に、ベトナムに集まるFDI(海外直接投資)の傾向や経済成長の行方などについて聞いた。

「中期的な有望事業展開先」で、ベトナムがASEAN内トップ

安居院 徹氏
株式会社国際協力銀行(JBIC)
ハノイ駐在員事務所
首席駐在員
安居院 徹氏

JBICは1989年から海外に3拠点以上有する製造業企業に対して、ビジネス動向やニーズ把握を目的に「海外直接投資アンケート」を毎年行っている。2020年度調査の結果では、中期的な有望事業展開先として中国、インドに次いでベトナムが第3位だった。ASEAN(東南アジア諸国連合)の中ではトップだ。

ベトナムを有望事業展開先とする理由として、「現地マーケットの成長性」を挙げる企業が多い。一般に国民一人当たりのGDP(国内総生産)が3,000ドルを超えると自動車の普及率が大きく上昇するモータリゼーション期に入ると言われているが、ベトナムの2020年の一人当たりのGDPは約3,500ドル。2019年6月からは地場大手財閥のビングループも四輪製造を手掛けるなど、バイク社会から自動車利用への移行はすでに加速しており、国内需要も高まりつつあるという。

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