アセットマネジメントOneは2024年7月26日、全国の投信販売関係者を対象に、都内で「アセマネOne商品戦略フォーラム 激動する環境下でのラインナップ構築のヒント」を開催した。

ドルコスト平均法の弱点

低コストで市場平均に連動したリターンを狙えると人気のインデックスファンドだが、実は多くの人が実践する積立投資ではパフォーマンスが振るわないパターンもあるという。米国株式市場のダウ工業株30種平均の伸び率を見ると、過去110年のうち3度、計40~50年ほど横ばいが続いていた(下図)。

ダウ・ジョーンズ工業株価平均

第一部に登壇したフィデリティ投信 執行役員 戦略営業本部長の新村光秀氏は、「これは、割高な株価が適切な水準に戻るまでにそれなりの時間を要したことを示しています」と説明する。「ドルコスト平均法に基づく積立投資は、株価が上下に動きつつ上昇トレンドを描く時期には運用収益を底上げする効果が期待できます。足元の米国株式市場は割高感が浮上しており、株価が上下せず横ばいのままの調整が続くことも起こり得ます。このような先行き不透明な相場環境では、確かな銘柄選定力を活かして市場平均を上回るリターンを目指すアクティブファンドへの投資が重要な意味を持つようになるでしょう」

新村氏が今回取り上げた『One/フィデリティ・ブルーチップ・グロース株式ファンド』は、1988年からの長期の運用実績を持つフィデリティの旗艦戦略と同一の運用を行うもの。ブルーチップ・グロース企業とは優れた成長性を持つ優良企業だ。ラッセル米国株式市場の大型成長株部門のパフォーマンス指標とされるラッセル1000グロース指数などを大きくアウトパフォームする同旗艦戦略は、5年リターンで年率22.2%の運用成果を上げている(2024年5月末時点)。

「国内で販売されている複数の類似ファンドとのパフォーマンス比較では、短期・中期・長期のどの期間も上回っています。このことから、タイミングを問わずいつ投資しても成果を実感いただけるファンドと自負しています」(新村氏)

各日本株ファンドのポイント

第二部では、アセットマネジメントOne 常務執行役員 運用本部長の丸山隆志氏が日本株投資の魅力を解説。国際的に日本市場の重要性が見直されていることや、国内経済の正常化とともに政府による「コストカット型経済」から「成長型経済」への転換などに目を向け、日本株の中長期的な成長に期待を寄せた。また、同社は運用力を高めるため、2024年4月にリサーチ・エンゲージメントグループを発足させるなどさらにリサーチ体制を充実させたと明かした。

日本株投資の魅力を説明するアセットマネジメントOne 常務執行役員 運用本部長の丸山隆志氏
日本株投資の魅力を説明するアセットマネジメントOne 常務執行役員 運用本部長の丸山隆志氏

フォーラムの終盤では、同社のファンドマネジャーが担当の日本株ファンドのポイントをそれぞれフリップで示しあった。

株式運用グループ 安西慎吾氏は『DIAM割安日本株ファンド』を、「変化を捉えるカタリスト」と表した。カタリストとは相場変動のきっかけとなるイベントや材料のこと。「割安銘柄に投資したものの、株価が一向に値上がりしない“バリュートラップ(割安の罠)”を回避するには、的確なファンダメンタルズ分析と割安の解消に繋がるカタリストを備えた銘柄の発掘力が付加価値になります」(安西氏)。

安西慎吾氏
『DIAM割安日本株ファンド』を担当する株式運用グループ 安西慎吾氏

『新光日本インカム株式ファンド(3ヵ月決算型)』を運用する株式運用グループ 吉澤朋哉氏は、同商品の特徴を「競争力を見るROE(自己資本利益率)」と定義した。「中長期的な収益性と株主還元に対する姿勢の分析力や当社のリサーチ力が、競争優位性を強めています」(吉澤氏)。

吉澤朋哉氏
『新光日本インカム株式ファンド(3ヵ月決算型)』を担当する株式運用グループ 吉澤朋哉氏(写真左)

株式運用グループ 西田森氏は『ハイブリッド・セレクション』を、「柔軟に機をつかむ」ファンドであるとアピール。1つの投資スタイルにとらわれず、グロース株とバリュー株に投資し、その組入配分を変えることにより、いろいろな相場局面において収益の獲得を目標とすると説明した。

西田森氏
『ハイブリッド・セレクション』を担当する株式運用グループ 西田森氏

同フォーラムのように、市場環境の変化を学びつつ一度に複数のファンドを比較検討できる場は、販売会社にとって商品を見直すきっかけになる。HPや特設サイトによる情報発信やイベント、勉強会など、同社は販売会社のサポート体制を一層強化していく方針だ。

第二部パネルディスカッションの様子。左から安西氏、吉澤氏、西田氏
第二部パネルディスカッションの様子。左から安西氏、吉澤氏、西田氏

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