銀行・証券・保険での職務経験を持つ戸田博之の実践的なアドバイスが好評の本連載。今回は、今話題の対話型の人工知能「ChatGPT」が金融機関の窓販業務をどう変革するかについて考察する。
(『保険マーケティング』2023年6月発行号より転載)
生成型人工知能との共存
この稿を書くたびに「今この時に書かねばいつ書くのか」というような話題を採りあげて書いてきたつもりであるが、今回以上にそれを強く感じることもなかったように思う。その採りあげたい話題とは、ChatGPTをはじめとする生成型人工知能(以下「AI」)である。この項を書いている2023年5月の時点で、このAIは、世界中でもっとも注目されている話題の一つであることに異論を唱える人は少ないのではないだろうか。
時代の変遷と生成型AIの能力
もうすでに40年も前の話になるが、銀行員になって2年目だったか、住宅ローンの担当になった。当時は顧客との相談の際、ローン返済額がいくらかを知るには、銀行本部につながっている特殊な機械に計算を依頼せざるを得ず、顧客から金利や借入期間を変えると返済額がいくら増減するかと問われると、そのたびにその機械の前に座って操作するために応接の席を離れるということをやっていた。
しばらくするとカシオやシャープといった会社がBASICという言語でプログラミングできるハンドヘルドコンピューターなるものを発売した。それを使うと、席を離れずに即座に応対ができるようになったので、自腹で購入しBASICを勉強して相談に役立てた。それまでに比べると、画期的な進歩であった。
そして今、こうした質問にAIが答えてくれる時代になった。会話調で、「住宅ローン5000万円を金利1%、35年返済で借りると、毎月返済はいくらになるの?」と指示(「コマンド」とか「プロンプト」と呼ぶらしい)をコンピューターのキーボードで入力すると、数秒で返済額を答えてくる。本当にあっという間だ。
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